【ネオ秘密持ちシナリオ】メメント【CoCシナリオ】

クトゥルフ神話TRPGシナリオ【メメント】

この古宇部市では様々な名状し難い現象が起きているようです。

ある人はマネキンに姿を変えられ、ある人はテロに巻き込まれ。

そしてある人は永遠に逃れられない運命に巻き込まれたようです。




10分間クトゥルフ神話TRPG

本シナリオは「10分間クトゥルフ神話TRPG」と題しまして、短時間お手軽にクトゥルフ神話TRPGの世界を体験できることをテーマに作成した、超短編シナリオです。

お手軽であっても、しっかりとクトゥルフ神話TRPGの世界を味わえるように注力しましたので、是非遊んで頂けたら幸いです。

シナリオダウンロード

シナリオは以下でPDFファイルをダウンロードして頂けます。
クトゥルフ神話TRPGシナリオ【メメント】

また、以下の通りこのページでもご覧頂けます。
お好きな方をご利用下さい。

その他のシナリオについてはこちらをご参照下さい

尚、プレイされる際に内容を改変されるのは問題ありません。
プレイに際してご連絡は不要ですが、コメント欄に感想等を頂けると大変嬉しいです。
また、プレイされて分かりづらかった等お気づきの点がございましたら遠慮なく教えて下さい。

身近で起こった名状し難い事件の調査依頼を受け付けております。

Ringosan’s SHOPの優秀な冒涜的探偵が速やかに解決に当たります。

シナリオ本編

メメント

シナリオ概要

プレイ時間:10分~(オフセ)

KP難易度:★★★☆☆ 普通

PL難易度:★☆☆☆☆ 易

推奨人数:1人

必須技能:ソロシナリオの為、探索技能(目星、アイデア等)

推奨技能:特になし

戦闘:想定していません

ロスト:想定していません

以下において断定的に書いているものはシナリオとして進めて頂くもの、ですます調で書いているものはKPに向けての情報を含んでいるものとお考えください。

尚、<  >内に記載のあるものは技能を表し、≪  ≫内の記載はKPに伝える内容を意図しています。

あらすじ

恋人と街を歩いていた探索者は、ふと何か大切なことをしなければならないという思いに駆られる。

その思いの正体が分からないまま、探索者は自分の腕に「恋人の死の状況」がびっしりと書かれている事に気が付くのだった。

探索者の思いの正体とは何か。

探索者の腕に記された恋人の死因は何を示すのか。

探索者が、PL自身にも秘匿されたとある秘密を持つネオ秘密持ちシステムを採用。

PLは希望を手にすることができるのか。

 

KPに向けての情報

以下にシナリオの重要な点を記します。

KPの方は以下の点を念頭に置いて頂くことで、改編やアドリブをふんだんに行われたとしてもPLを適切に導くことができるでしょう。

0.KPに向けて

このシナリオはKP1人とPL1人の合計2人で遊ぶ超短編シナリオです。

手軽にクトゥルフ神話TRPGを体験することを目的としています。

また本シナリオは後述の通り「ネオ秘密持ちシナリオ」と称し、PL自身にも隠されたとある秘密を探索者が抱えています。

PLが探索者を操るとは言え、PLと探索者は別の人間であるため、探索者についてPLが知り得ないことがあったとしても、それはアンフェアではないと考えております。

果たしてPLはこのシナリオの裏に隠された真実にまでたどり着くことができるでしょうか。

また本シナリオは、探索者がどのような行動を取ったとしても後味の悪い結末が待っています。

しかしPLの革新的な発想によれば、運命の女神が微笑むこともあるやも知れません。

そのような場合には、KPの良心に従いハッピーエンドを創作されても一向に構いません。

また、本シナリオに記載する内容はあくまで一例にすぎません。

探索者とNPCの関係を鑑み、NPCの探索者との続柄や性別等は適宜変更して下さい。

1.探索者の置かれた状況について

探索者は恋人を助けようとしています。

何から助けようとしているのかというと、それは「死の運命」からです。

不運な事故により恋人を亡くしてしまった探索者はその事実を受け入れることができず、運命に抗わんとしました。

その強すぎる想いは、名状し難い存在を引き寄せるに至り、恋人の死の瞬間を繰り返し体験させられることになります。

探索者は、恋人を助けるチャンスを得ることができ、この上ない幸運を掴んだと思うかもしれません。

しかしどれだけ抵抗したところで、例え命を賭したとしても、運命を動かすには探索者の存在は余りに小さすぎるのでした。

何度繰り返しても、必ず死んでしまう恋人。

決して覆すことのできない運命を前に、探索者の心はやがて挫けてしまうかもしれません。

しかし例え探索者が恋人の命を諦めてしまうことになったとしても、それでも探索者はこの歪んだ運命の歯車から抜け出すことはできないでしょう。

探索者が恋人の命を救うその時まで、探索者はほんの10分間程度の恋人との最期の時間を永遠に繰り返すことになるでしょう。

2.ネオ秘密システムについて

「ネオ秘密システム」は本シナリオの根幹をなす特徴です。

通常の「秘密システム」であれば、各PLが用意した探索者に、「他の探索者に対する秘密」を用意するものですが、この「ネオ秘密システム」では、「PL自身に対して探索者が持つ秘密(真実)」を用意しています。

KP諸氏は、PLに対し、探索者が秘密を持っていることを予め明かすことで、全くの秘密のままとして、最後に大いなる驚きを与えることに尽力されても良いでしょう。

ただし、本シナリオでは次々に襲いかかってくる死から恋人を救わなくてはならない為、秘密の正体にかかずらわっている暇はないでしょう。

3.秘密の内容について

探索者が抱える秘密、それは「探索者が恋人の死を救おうとするのはこのシナリオ内の話が初めてではない」ということです。

恐らくはPLは、突如として起きた事件・事故から恋人を助けることがこのシナリオの命題だと考えることでしょう。

しかし実際には探索者は既に数百回、あるいは数千回にも及び恋人を助けようと試みており、その気が遠くなるほどの試行の末に得られた統計から、探索者がどのように行動を取ると恋人がどのように死んでしまうのかについて身体中に書き込んでいます。

それ故に、探索者の身体には恋人の死因がびっしりと書き込まれているのです。

尚、探索者が恋人を死の運命から救おうとするのは、本シナリオ内での話が<1D100 × 1D100>回目(最小で1回目、最大で1万回目)です。

4.探索者について

探索者は前述の通り幾度となくこのシナリオ内で語られる10分間程度の時間を繰り返していますが、その10分の間はそれまでの記憶を失っています。

恋人を救うことに失敗し時間を遡るその間にのみ、それまでの全ての記憶を思い出すことになり、次にまた記憶を失っても対処できるようにと自身の身体に恋人の死因を書き綴っていくのでした。

恋人の死因はその時々によって微妙に変化します。

探索者は上記の通り数百回数千回に及ぶ繰り返しの中で、統計的に起こりうる確率の高い内容を考えて文字列に加えています。

5.恋人の死について

探索者は恋人を死から救おうとします。

しかし恋人の死は「運命」であり、例え目の前の死因から救ったとしてもすぐに別の死因が恋人を襲ってきます。

6.エンドについて

このシナリオには二つのエンドを用意しています。

すなわち、死の運命から恋人を救うという、無限に続けても叶わないかも知れない願いを諦めるか否かです。

諦めなければ再度同じ状況を繰り返すことになりますし、諦めたからといってこの繰り返しから逃れられるわけではありません。

ある意味でどちらを選んでも同じ結末ではありますが、恋人を想い、決して諦めない探索者の強い心があれば、この歪な運命の輪を打ち破ることができるかもしれません。

そのような場合には、KPの裁量によって別の結末へと探索者を導くことを誰も咎めはしないでしょう。

導入

探索者は恋人と街を歩いている。

≪恋人≫

探索者との関係は恋人に限りません。

親子や兄弟、友人ということもあるでしょう。

またその発言や行動についても、その都度変更して下さい。

<アイデア>に成功すると、何か大切なことをしなければならないという思いに駆られる。

しかしそれが何なのか、その思いがどこから来るのかについては分からない。

そんな中、探索者は自身の腕に汚れが付いているのを見つける。

よくよく見てみるとそれは汚れではなく文字であり、腕まくりをしてみるとそこには細かい文字がびっしりと書き込まれていた。

その中で少し大きめの文字で書かれている文字列が探索者の目を引く。

「○○(恋人の名前、以下「恋人」と呼称)はこの文字だらけの腕を見て『また厨二病になったの?』と笑う」とある。

訝しむ探索者の隣を歩く恋人もこの腕に気づいたらしい。

「また厨二病になったの?」と言ってケラケラと笑う。

まだ半信半疑、いや、信じるも疑うも、そもそもこの文字が何なのか探索者には分かっていないが、それでも書いてあることが本当になったことで、この文字には何か意味があるかも知れないという考えが探索者の頭をよぎる。

先ほどの文字列の下には矢印が引かれていた。

その先に記された一文に、探索者は肌が泡立つのを感じる。

恋人がトラックに轢かれて死亡

先ほど恋人の反応を予言する一文があったことも相まって、探索者は恐ろしい思いに駆られる。

<SANチェック> 0/1D2

探索者がこの文の意味を理解する前に、遠くからけたたましいエンジン音を唸らせながら走ってくる大型のトラックが目に映った。

探索

ここから自由に探索することができる。

トラックはまだ離れた位置にあり、こちらに到達するまでいくばくかの猶予がある。

<猶予>

トラックが到達するまで20秒程度の猶予があり、探索をするのであれば2回程度になるでしょう。

探索可能な回数はKPの裁量で決定されて構いません。

探索者はトラックが到達するまでの時間は目測で推し量ることができますし、そこからどの程度行動できるかを知ることもできるでしょう。

探索で得られる情報は以下の通りである。

1.恋人について

恋人は特に変わった様子もなく探索者と歩いている。

道向かいの施設に入ろうと、横断歩道を渡ることを探索者に提案してくる。

<提案してくる>

ここで恋人との会話に時間を使ってしまうと、他の探索の時間が無くなってしまうこともあるでしょう。

今横断歩道は赤信号であるが、もう間もなく青に変わりそうである。

腕に書き込まれた文字を恋人に見せても、恋人は冗談だと思って取り合うことは無い。

2.文字について

探索者の腕に書かれた文字を改めて確認すると、この文字は油性ペンで書かれていてそう簡単には落ちそうにないこと、またこの文字は確かに探索者自身の文字であることが分かる。

持ち物を調べてみると探索者はポケットに油性ペンを持っていることが分かる。

<アイデア>に成功すると、もっと他にも何か書かれていないだろうかということを思う。

上記<アイデア>に成功、または技能ロールに拠らず上記の考えに至った場合、更に<目星>に成功すると以下の情報が手に入る。

この文字列は全て「恋人が死亡する状況」について記載されている。

また大きく分けて二種類の書き方がされており、一つは単に死因が書かれているパターンで、先ほどの「トラックに轢かれて死亡」がこれに当たる。

もう一つは死因の直前の行動が書かれているパターンで、「○○して助けたら、次は□□になって死亡」というものである。

<死因>

腕に書かれた死因はあまりにも膨大で、ここで全てを読んでいる暇はありません。

そんなことをしていては、トラックが恋人を轢いてしまうでしょう。

救出

横断歩道の信号が青になり、恋人が渡ろうとし始める。

しかしトラックはその速度を緩める気配もなく、また恋人はそのことに気が付いていないようである。

探索者が恋人を助けた場合、トラックは何事もなかったかのように通り過ぎていく。

他の歩行者から、信号無視をしたトラックに対する罵声が上がる。

先だって探索者の腕の文字列に対する<目星>に成功していた場合、またはここで改めて<目星>に成功した場合、以下の情報が手に入る。

「○○した場合、□□して死亡」

≪「○○した場合、□□して死亡」≫

この○○や□□は探索者の行動に応じてKPが記載して頂く内容になります。

○○は探索者が取った行動で、□□はその後起こり得る出来事です。

例)探索者が手を引いて恋人を止めた場合

「手を引いて止めた場合、躓いて通行人にぶつかってしまう。通行人の持っていた煙草の火が燃え移り焼死。」

恋人の死は避けられないものとして、探索者が取った行動の後にも必ず死が待っているようにして下さい。

探索者の行動と、次の死因は無理があるようなつながり方でも構いません。

なぜなら恋人が死んでしまうことが運命であるからです。

<目星>によって得られた次の恋人の死因から恋人を救うと、直後に再度<目星>に成功することで更にその次の死因についても腕に書かれている事に気が付く。

その後も<目星>に成功するごとに、探索者の行動の結果として襲ってくる恋人の死因についての記載を見つけることができる。

≪探索者の行動の結果として襲ってくる恋人の死因≫

かなり難しいかとは思いますが、全て前述の通りKPがアドリブで記載を続けて行って下さい。

その際、全く関係のないことで恋人が死んでしまうことにしてしまっても構いません。

例)歩きたばこの男性を突き飛ばした場合

先述した通り、横断歩道を渡る恋人の手を引くことでトラックに轢かれないようにすると、次は「手を引いて止めた場合、躓いて通行人にぶつかってしまう。通行人の持っていた煙草の火が燃え移り焼死。」という記述が目に入ってきました。

そこで探索者は、歩きたばこをしている通行人を突き飛ばすことで恋人を助けたとします。

すると、<目星>に成功することで「歩きたばこの男性を突き飛ばした場合、通り魔に刺されて死亡」という文字列を見つけることになります。

歩きたばこをしている通行人を突き飛ばすという探索者の行動は、通り魔とは全くつながりませんが、例えばたまたま誰かを殺そうとうろついていた通り魔が、目立った行動をしていた探索者達に目をつけ恋人を刺すに至る等、無理矢理こじつけて頂いて結構です。

上記の「探索者が恋人を救うごとに、その次の死因を腕の文字列の中から見つける」という事象を3回程度繰り返した後に恋人を救ったタイミングで<目星>に成功すると、もうどこにも次の恋人の死因を示す内容が記載されていないと分かる。

転換

続きが無い。

それが意味するところはすぐに判明する。

鈍い音が響き、探索者の視界から消え失せる恋人。

探索者が足元を見ると、頭から血を流し、ピクリとも動かない恋人の姿がある。

傍らには割れた植木鉢が散らばっており、これが恋人の頭に直撃したようである。

≪植木鉢が直撃≫

この死因についても、適宜変更して頂いて構いません。

続きが無い。

それが意味するところは、これで恋人が死から免れたということではなく、まだその先の死因が分からないということだった。

恋人を救うことができなかった探索者は<SANチェック> 0/1D6

≪転換≫

<目星>に失敗して次に取るべき行動が分からなかったり、恋人を助ける以外の行動を取っていたり等、恋人を救うことができなかった場合もこのパートに移ります。

流転

恋人を失い悲しみのあまり声を発する事さえできない探索者の身体を光が包む。

次の瞬間探索者は虹色の光の中を漂っていた。

何度繰り返しただろう。

何百回か…もしかしたら何千回かも知れない。

とうに数えることを止めてしまった。

何度やっても救うことができない。

この虹色の空間に来るたびに全てを思い出し、彼女を救えなかったことに絶望し、次こそは彼女を救おうと希望を胸にし、そしてそれまでの試行の全てを忘れた状態でまた彼女の死の瞬間に立ち会う。

そんなことをもうずっと繰り返している。

次こそ恋人を救うと固く心に誓う場合→【END1】

何百、何千の繰り返しを行ってきたことを思い出したことで心が折れてしまい、もう恋人を救うのは不可能だと諦めた場合→【END2】

閉幕あるいは開幕
END 1

探索者はすぐに油性ペンを手に取り、腕のどこか空いているスペースに先ほどの恋人の死因を書き込む。

忘れないように。

忘れてしまっても大丈夫なように。

そして、今度こそ恋人を救うために。

永遠とも思えるほどに積み重なった、このほんの10分間ほどの出来事の繰り返し。

これだけやってダメなのだからもう無理なのかもしれない、そう思わないでもない。

それでも探索者は恋人を救い続ける。

例え1秒でも長く恋人と生きていられるように。

希望を胸に、探索者はもう一度この10分間を繰り返す。

END 2

探索者は心が挫けてしまった。

何度やっても恋人を救えない。

どうしても次々に死が恋人を襲う。

恋人を連れて逃げようとしてもダメだった。

恋人の身代わりになって探索者が死のうとしても、こと切れる寸前に恋人が死ぬのを見た。

何にも襲われないようにと恋人に覆いかぶさってみてもダメだった。

何をしてもダメだった。

絶対に恋人は死んでしまう。

絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に

絶対に…。

もう諦めよう、恋人の死を受け入れよう。

もう自分は十分頑張った。

恋人を救うことはできなかったが、しかし自分の頑張りにはきっと何か意味があるはずだ。

きっとそのためにこの繰り返しがあったに違いない。

そう思うと探索者は肩の荷が下りたように楽な気持ちになった。

大切なものを捨ててしまった代わりに安息を得ることができた。

ようやく自分の人生に戻ることができる。

探索者は安堵と共に目をつむる。

再び目覚めた時にはもう日常に戻っているだろう。

探索者は街を歩いている。

ふと見やると、手に汚れが付いている。

どこで汚してしまったかと腕まくりをする探索者に声がかかる。

「また厨二病になったの?」

想い

強すぎる想いは時として名状し難い存在を呼び寄せてしまうものです。

それが当人にとって幸せなのかどうかは分かりません。

今回ご紹介した話でも、恋人は果たして何度死んでいるのでしょうか。

そしてその記憶は果たして…。